手術の日

手術に備えるのは非常に面倒くさい。
看護婦から指示があるけど浴衣とかいろいろそろえるものがたくさんある。たいていの場合は病院の売店よりマツキヨとかの方が大分安い。
で、まだ出産してなければ、多くの人はここでT字帯というものを初体験するはず。ホモ大喜びの逸品
http://www3.ocn.ne.jp/~egihson/osiri.text/osiri_page_6.html
↑よく自分でやったよ!えらい!

で、手術当日、朝は絶食・水もダメ。で、「オペだし」という手術室へ向かう大事な儀式がはじまります。主に忙しいのは看護婦で、あなたはもうまな板の上の鯉。看護婦は鯉をいけすから出して板前のところへつれていくのです。
手術は大抵朝9時頃からはじまるけど、午後からの場合もある。オペだしはだいたい手術の1時間くらい前から始まる。大抵家族とかきてくれるとおもうので万が一に備えて遺言ぐらいのこしてもいいでしょう。そんな余裕ないとおもうけど。

1. まず浣腸 
僕は嫌だけど好きな人は好きでしょう?僕の場合、看護婦に呼び出され、トイレの個室に二人で入ります。中にはいると看護婦に「お尻だして」っていわれるのでおもむろにズボンをおろしますハァハァ
で、看護婦が手慣れた手つきで菊の門に正確にぶちこんでくれるので、10分くらいは耐えてください。僕は以前5分で果ててしまい、「もうでちゃったの?だめねえ」っていわれちゃいました(^^;
あ、看護婦は残念ながら浣腸ぶち込んだ時点で退室。

ここでだすものだしておかないと手術中麻酔で筋肉ゆるむので、うんにょをぶちまけてしまうのです。そうすると感染症とか起こすから危険だから大事なんですよ。

2. 医者がやってきて持続の点滴をさす。これはラインともいう。貴方と薬物をつなぐ大事なライン。術後1週間くらいはくっついてくるので、なるべく邪魔にならないようにやってもらおう。

3. 術衣(医者もきてるアレ)に着替えてストレッチャー(救急車にのっているような台車付きベッド)にのる。ここで覚悟を決めてください。術衣の下は当然ノーパンノーブラですが、多少はサービスしましょう。

4. 肩に注射(セルシン)。これがかなり痛いけど、精神安定剤を筋肉注射で大量投与ですので、我慢我慢。そのうち眠くなります。これのおかげで手術室に向かう途中「ぎゃあああああこわいいいいいやっっぱりやめてえええええ」とか叫ばなくてすむんですよ

5. てなわけで、いよいよ手術室に入室。ちなみに緊張してるのは患者(と一部の研修医)だけだからね。手術前に医者がお祈りしたりする病院はもうほとんど存在しないでしょう。あっさりはじまります。

で、麻酔。全身麻酔の場合はさっきのラインから静注。名前を呼ぶので意識がある限り返事させられるが、6-7回目くらいで「ああ、もうだめ」という感じ。
次の瞬間すでに手術は終わっている。夢など一切見ないが見る人もいるらしい。

腰椎麻酔の場合は腰に注射を打つ。足をポンポンたたかれるので感覚がある限り返事をする。結構時間がかかるし意識ははっきりしてるので正直怖い。

で、僕は一回全身麻酔の術中に麻酔が切れて目を覚ましたことがある。そのときは「あ、手術終わったのか」という感じで目を開けたけど、医者は「あ、起きちゃった」という感じで麻酔の量を増やしたそうだ。麻酔なんて途中で切れたってそんなもんだよ。どうせ終わったら痛いんだから。

手術中大変なのは医者。
患者が大変なのは術後。

全身麻酔で手術がおわると名前呼びながら肩をポンポンたたかれておこされる。
こうしてわたくしは晴れの大舞台、ICUに運ばれていくのです。
ICUでは木枯らしがぴゅーぴゅー吹いてました(え?)。患者にとってここからが正念場だからね。

術後の痛み止めは大抵レペタンというのを使う。これは依存性など起こさないように強い吐き気と頭痛を伴う医療用モルヒネ。とりあえず寝てるんだか起きてるんだかわからない気持ち悪い酩酊状態へつれていかれます。もうすっかりドンギマリ。

ICU内部で吹いている木枯らしだと思っていたの、実は空調でした。空気を清潔に保つために時々恐ろしい勢いで換気し、そのときにヒュウゥゥゥゥとすごい音がして冷たい風が吹き付けるする。
その装置がベッドの真上にあってレペタンで頭ボケボケなんだから木枯らしが吹いてるとおもっても無理はないでしょ。

手術によって切断された足は膝の下15センチ。腫れるのを防止するためにギブスが巻かれている。足が腫れていると義足を作るときにいろいろ不都合があるらしい。とりあえず足の方を見るほどの余裕も勇気もないけど、足の感覚としては切る前と全然かわらない。
ま、いずれにせよ身動きは全くとれないのでいてぇーといいながら寝てるだけのマグロでございます。

というわけで手術後の長い長い夜が始まります。
体には心電図・血圧測定マシーン・点滴・傷口から血を抜くドレーン
大事なところにはバルーンと呼ばれる管がつけられほっといてもそこからおしっこが出て行く。あと口には酸素マスクがつけられ、身動きなんてとれない。スパゲティ症候群なんて言葉もあったけど、体中にチューブがついている。

んで、痛いし周りでバイタルを測る機械ががちゃがちゃうるさいので眠れるわけありません。時計もみえないから時間もわからない。Welcome to nightmare 今何時?現在時刻(懐

しばらく漂っていたら以前お世話になった看護婦さん(浣腸で「もうでちゃったの?だめねえ」といった人)が様子を見に来てくれた。もう7-8年も前の患者なのにわざわざ様子見にきてくれてうれしかった。

というのは実は他にも理由がありまして。昔、クロスレッグ術という治療で両膝完全に固定し、下半身が全く動けない状況で2週間過ごしたことがあった。そのとき真夏だったので、股間に見事なインキンができて看護婦に股間を洗ってもらっていたのです。

うらやましいですか?
恥ずかしいだけでしたよ。

だからおったてたりしなかったんだけど、その看護婦さんの時だけはおもいっきり硬くなってしまい、その後その看護婦がそういうシモの世話をしてくれることはなくなりました。。。。
結構年上の人だし別に恋愛感情とかあったわけじゃないんだけどね。

てなわけでこの看護婦がきたのが何時頃だったのかさっぱりわからないまま、レペタンで丼ギマリの状態のままICUの夜は更けていくのです。

で、今何時だよ。